僕が、今クールのアニメの中で一番ハマっているのが、
画像引用元:http://eizouken-anime.com/story/?id=9
「映像研には手を出すな!」
(NHK総合:毎週日曜深夜24:10~/関西地方は24:45~)です。
現在、9話まで放送されているのですが、毎回「もう終わっちゃうの?」と、時間が早く過ぎてしまったのではないかと錯覚するぐらい楽しませてもらっています。
【作品概要は…?】
原作は小学館のコミック誌「月刊!スピリッツ」に2016年9月号から掲載されている大童澄瞳(おおわら・すみと)さんの同名漫画「映像研には手を出すな!」。アニメ監督とシリーズ構成を「マインド・ゲーム」「ピンポン THE ANIMATION」の湯浅政明監督が務めています。
【物語は…?】
「映像研」は、いわゆる「アニメ研究会」で、ザックリ言えば、3人の女子高生がアニメ制作に奮闘する物語です。
【登場人物は…?】
3人の女子高生のキャラクターは…
1.設定にこだわる演出家・浅草みどり(CV:伊藤 沙莉=いとう・さいり)
2.アニメーター志望のカリスマ読者モデル・水崎つばめ(CV:松岡 美里)
3.現実主義者のプロデューサー・金森さやか(CV:田村 睦心=たむら・むつみ)
この3人を中心に学校や芝浜の町を舞台に物語が展開していきます。
【作品の特徴は…?】
映画監督になりたい!漫画家になりたい!という職業や部活などをテーマにした作品はこれまでもたくさん存在しましたが、「映像研」がこれまでの作品と一線を画すのは、現実主義者のプロデューサー・金森さやかのお金に向かって突き進む行動が物語を展開させる推進力になっていることにあると思います。
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【注意:9話ネタバレあり】
◆「映像研」で描かれることは現実世界でも起っている!
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アニメ「映像研には手を出すな」第9話では、部活のプロモーションアニメDVDを制作しているだけでは、映像の権利はクライアントのロボ研にあり利益が出ないこと。3人で時給1000円換算として180万円の労働が、たった2万円程度の収入にしか結び付いてない現実。
また学校という狭い市場ではDVDでは売り上げも伸びないため、活動を継続さえ危ぶまれることなどから、たくさんオファーのあった部活プロモーションアニメの依頼を全て断って、学校外の活動(=コミケで儲けること)を目標に掲げて、新たなスタートを切るというストーリーでした。
実は、これは今のテレビや映像制作の現場が現実に抱えている問題でもあるんです。
広告収入の低下からテレビ局の番組の制作費は減少を続け、スタッフの数もギャラもダウン。仕事は増えるが利益は上がらない。さらにテレビが家にない若者も増えているため、視聴者数は減少の一途をたどる。
どんなに良い企画を考え、番組を作ったとしても制作会社やフリーランスのスタッフは映像に関する権利を持たないため、一度の製作費やギャラを受け取りで終わってしまいます。DVDになったとしても雀の涙程度の支払いがあれば御の字。そして、テレビ放送以外の活動(=ネット配信などのweb)で利益をあげることに向けて舵を切り始めているのです。
生徒会からの予算だけでアニメ制作が継続できない「映像研」が芝浜商工会に製作費を援助してもらったように、現在、テレビやアニメの制作会社、クリエイターたちはAmazonプライムビデオ、Hulu、NetFiixなどと提携してネット配信向けの作品の制作を行っています。AbamaTVはもちろん、Youtube、ニコニコ生放送などインターネット配信の番組製作の仕事も増えています。
◆世界に飛び出す日本のクリエイター!そのカギは…
そんな中で今、一番注目を集めているのがNetflixです。
Netflixは、山田孝之さん主演の「全裸監督」では1話1億円の製作費がつぎ込まれたと噂されていますし、今年3月からは蜷川実花監督の「FLLOWERS」全9話が配信されるなど次々と話題の作品を製作しています。
アニメではプロダクションI.G.、ボンズに続いて、アニマ、サブリメイション、ディヴィッドプロダクションと包括的業務提携を結んだことが最近、発表されました。これから益々、Netflixが日本のクリエイターたちの活躍の舞台となっていくことでしょう。
さらにNetflixはCLAMP(カードキャプターさくら等)、樹林伸さん、大田垣康男さん、乙一さん、冲方丁さん、ヤマザキマリさんとオリジナル作品の企画・製作のパートナーシップを結びました。クリエイターが原作を提供し、Netflixは、その原作をもとにアニメ制作会社に委託、できあがったアニメ作品を世界190か国に配信するそうです。
このパートナーシップにはNetflixが日本の著名なクリエイターの囲い込む狙いもあると言われてます。日本でアニメを製作するなら、日本のクリエイターの原作を押さえておこうという戦略なんでしょうね。
潤沢な製作費で大きな市場へ向けて作品を提供し、相応の利益を得る。目標に向け、学校という枠組みからコミケに進出しようと奮闘する「映像研」の3人の姿を、現実世界でテレビや日本という枠組みから脱却しようとしている「クリエイターたち」の姿に重ね合わせずにはいられません。
◆「映像研には手を出すな!」第9話で心に残ったセリフ
最後に第9話での金森氏の言葉は、全てのモノづくりに関わる人間が心に刻むべきだと感じたのでココに記しておきます。
画像引用元:http://eizouken-anime.com/story/?id=9
「商品の充実だけにこだわっても意味がない。時代に合った需要と供給、そして宣伝。良い店なら自然と客が来るという考えは甘い。宣伝なくして商売は成り立たない。同時に作品がなければ何も始まらない。こだわりだけじゃなく客の購買意欲をかきたてる内容を考えろ!」
誰のために作品を作るのか?
独りよがりになっていないか??
どうやったら作品がユーザーに届くのか???
モノづくりにおいて常に考えていないといけないことですが、ついつい忘れがちなことなのかもしれません。
【結論】
「映像研には手を出すな!」には映像制作の夢も理想も現実も…全てがつまっています!つまり過ぎているかもしれません!
未見の方、興味を持った方は是非、一度、ご覧になってみてください。