2020年3月30日からスタートするNHKの朝の連続テレビ小説「エール」。
画像出典元:NHK連続テレビ小説『エール』
NHKの朝ドラ「エール」は昭和を代表する作曲家 古関裕而(こせき ゆうじ:1909年~1989年)と妻で声楽家としても活躍した金子(きんこ:1912年~1980年)をモデルに、激動の昭和という時代、音楽で日本を勇気づけた夫婦の物語になるのだそうです。
では、このドラマのモデルになった作曲家・古閑裕而とは どんな人だったのか?ザックリとまとめてみました。
【ネタバレ注意】古関裕而さんについて知ってしまうとドラマのネタバレになってしまうかもしれませんのご注意ください!
◆古関裕而(こせきゆうじ)ってどんな人?
1909年、福島市に生まれた古関裕而は、家業である呉服屋を継ぐため旧制福島商業学校に進学。常にハーモニカを携帯し、楽譜を買い集めて、独学で作曲をしていました。しかし、在学中に実家の呉服屋が倒産。卒業後は川俣銀行(現 東邦銀行)に勤務することになったそうです。
画像出典元:福島市古関裕而記念館
◆日本人が生んだ天才作曲家!
古関の運命が大きく動いたのが1929年。イギリス・ロンドンのチェスター楽譜出版社の募集した作曲コンクールに日本人として初めて入選することになります。これは日本人初の国際的な作曲コンクールでの入賞であり、当時の新聞でも大々的に報道されているほど快挙なのだそうです。
◆妻との出会いはファンレター!音との出会いは実話だった!?
コンクールでの入賞を新聞で読んだ声楽家志望で豊橋市在住の内山金子(音のモデル)が古関にファンレターを送り、文通を経て1930年にスピード結婚しています。ドラマで描かれた裕一と音の出会いは実話だったようです。ただ子供の頃の教会での出会っていたというのは創作だと思います。
古関裕而は1930年9月に、コロムビアの顧問 山田耕筰の推薦でコロムビア専属の作曲家に迎え入れられ、専属作曲家として数多くの曲を作りました。古関が作曲した曲の数はなんと5000曲にも及ぶそうです。
◆「オリンピックマーチ」から「六甲おろし」まで、スポーツの名曲を作曲!
戦前は「露営の歌」(1937)、「暁に祈る」(1940)等の戦時歌謡の名曲を残し、戦後の荒廃した社会を明るく照らす「とんがり帽子」「長崎の鐘」といった未来へ希望を抱かせる明るい歌謡作品を数多く作曲しています。
伊藤久男「暁に祈る」(※福島三羽ガラスの曲)
作詞:野村俊夫 作曲:古関裕而
暁に祈る 昭和15年(唄:伊藤久男)昭和44年放送 日本歌謡チャンネル
由紀さおり・安田祥子「長崎の鐘」
作詞:サトウハチロー 作曲:古関裕而(※1947年時の歌唱は藤山一郎)
また戦後日本の高度経済成長の象徴でもある1964年の東京オリンピックの開会式で流れた「オリンピック・マーチ」も古関裕而の作曲です。さらに現在も夏の甲子園大会の大会歌「栄冠は君に輝く」、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」、読売巨人軍の応援歌「巨人軍の歌(闘魂こめて)」、NHKスポーツ中継テーマ曲「スポーツショー行進曲」など、誰でも一度は耳にしたことがあるスポーツの名曲を多数作曲しています。
伊藤久男「栄冠は君に輝く」
作詞:加賀大介 作曲:古関裕而
【栄冠は君に輝く】 歌:伊藤久男 作曲:古関裕而【夏の全国高等学校野球選手権大会の歌】
※歌手・伊藤久男は山崎育三郎さん演じるプリンス佐藤久志のモデルです。
◆あのドラマや映画にも古関作品が!
古関裕而は、劇作家で作詞家の菊田一夫とのコンビでテレビやラジオ放送に使用される作品にも力をそそぎ、NHKラジオドラマ「鐘の鳴る丘」「君の名は」などの主題歌を手がけた他、映画「モスラ」の劇中歌でザ・ピーナッツの「モスラ―や!モスラー!」という歌声でお馴染みの「モスラの歌」(1978)など、ヒット曲も連発しています。
織井茂子「君の名は」
作詞:菊田一夫 作曲:古関裕而
こちらは映画版の主題歌で、もともとはラジオドラマでした。ラジオドラマでは声楽家の高柳二葉さんが劇中歌として歌っていたようです。
ちなみに映画では主人公の浜口真知子を岸惠子さん、後宮春樹を佐田啓二さんが演じました。佐田啓二さんの息子が俳優の中井貴一さんです。さすが親子そっくりですね。
◆古関裕而がレギュラー出演していたテレビ番組は!?
古関裕而は、欽ちゃんこと萩本欽一さん 司会のフジテレビの番組「オールスター家族対抗歌合戦」で審査員を1972年から1984年まで務めるなどテレビ番組に出演しており、お茶の間にもその名前と顔が浸透していました。40代後半以上の方の中には「あの審査員の先生か!」と思い出された方も多いのではないでしょうか。
◆朝ドラ「エール」で描かれる物語は?
ドラマでは、主人公は福島で老舗呉服屋の長男として生まれた古山裕一(窪田正孝)と、歌手を目指す関内 音(二階堂ふみ)との結婚を経て、戦前・戦中・戦後と昭和を駆け抜けた裕一の作曲家人生をフィクションとして描かれるそう。NHKの予告番組などで、音が裕一に手紙を送るシーンが紹介されていたので、かなり実話のエピソードを基にしてストーリーが描かれると思います。
「エール」では、どんなドラマチックな物語が描かれるのか楽しみですね!